「汎用」という言葉が好きだ。「はんよう」である。半妖ではない。それでは半分妖怪である。ねずみ男である。そうではない。汎用である。いつものように、三省堂新明解国語辞典を開くと、
「はんよう【汎用】 広くいろいろの用途に使うこと。」
とある。いろいろにつかえる、いいことではないか。汎用。なかなかいい言葉である。もちろんいちばん好きな・いい言葉というわけではないのだが、好きな言葉である。
「汎用ネコ型ロボット」それはドラえもんである。「ドラえもん」を一発変換するあたり、IMEも賢くできている。「服部くん」これはしかたあるまい、学習効果である。「パーマン」ほかに変換しようがなかろう。まあ、どうでもいいことだ。ともかく「汎用ネコ形ロボット」それはドラえもんである。彼(?)の手は、「ぺたりハンド」である。「何でも磁石のように吸いつける」のだ。彼のアーキテクチャは基本的に「必要な機能はオプション」でつけることになっている。はじめから飛ぶ機能があるわけではないが、「タケコプター」で飛ぶことができる。はじめから強い力があるわけではないが、「スーパー手ぶくろ」をつければ強くなる。あの「四次元ポケット」さえ着脱可能式なのである。ひとつのオブジェクトに無理にたくさんの機能をつけまくらないという、22世紀の基本思想である。もちろん、現代文明批判ではない。
「汎用人型決戦兵器」それは往年のエヴァンゲリオンである。「建造は極秘裏に行われた。われわれ人類最後の切り札よ…」である。果たしてあれが汎用といえたかどうかはともかく、まあ、そう銘打っているからには汎用なのであろう。しかし、かなり苦戦していたような気がするが、それが汎用機の汎用機たる限界であろうともいえる。どうしても、専用機(シト)のほうが生産効率がいい。しかし、実体そのものにかなりのコストがかかることは事実である。このへんは生産技術の常識である。もちろん、現代文明批評ではない。
さて、ずいぶん横道にそれてしまった気がしたが、「汎用」である。わたしは基本的に無駄遣いを少なくしたい質なので、たとえば、着るものに関しても汎用性を求める。どんなパンツにも似合う靴や、どんな服にも似合うパンツといったぐあいである。ときにはそれだけでしか着られなくて、というようなものも欲しいが、着まわし可能、というのは大きな評価基準となっている。単にたくさん買えるほどの財源がないというのもあるが。
あるいは、こういうウェブページに関してもそうである。ウェブページの汎用性というとなかなか難しいとは思うが、やはり仕様に沿って、というのがその王道ではなかろうか。このあたりの議論に関しては、近くで言うと、このへんやこのへんが詳しい。もちろん、現代ほめぱげ批判ではない。
さて、同様に研究で使わなきゃいけないプログラムに関してもそうである。なにをやっているかというと、ただの数値計算なのではあるが、そこにも汎用性をつめこむ。数値計算といっても、データを読み込んで処理して出力するというようなものである。入出力データのフォーマットをできるだけ統一するのは言うまでもないことである。それ以上に汎用性を求めてしまう。C言語を使っているのではあるが、たかが数値計算だ。Windowsを使っているからと言って、Windows/GUIのアプリケーションをつくればいいってもんでもない。汎用性という意味では、stdin/stdout/stderrを使う、すなわちprintfな、要はコンソールなのがよさそうな気がしてくる。なぜなら、これなら、WindowsだろうとUNIXだろうと(DOSだろうと?MACだろうと?)動くからだ。 Windowsしか使わないくせに…などと言ってはいけない。いわゆるスーパーコンピュータは基本的にUNIXなのだ。まあ、ごく最近、WinAPIのプログラムを作る必要に迫られ、そのポリシーも失われつつある。しかも、かなりハードウェアな、機械語ちかくをさわらなければならなさそうだ。(ひぇ〜)
そうはいっても、パソコンというのは、かなり汎用性の高い道具である。包丁でも炊飯器でもポリタンクでもざぶとんでも、ここまでの汎用性を持つ道具はあるまい。
ちなみに、かくいう自分は「汎用人型ヒト」である。ま、機能はかなり凡庸ではあるが。
あ、ついでにいっておくけど、いくら汎用だからといって、男は対象としていませんので、あしからず。