どっちがお好き?

人間とコンピュータ、どっちが好き?と聞かれたとする。いや、たとえばの話である。とはいっても、実際、たとえば〜といって、聞かれたのである。これは問題である。質問自体が問題なのはもちろんであるが、その質問をされたこと、そのものが、けっこう問題である。つまり、あれかね、君は、人間とコンピュータ、どっちが好きか、そう聞くわけだ。要するに、ぼくはそういう質問をされるというところに至ったわけだ。これは由々しき問題である。

つまり、こういうことだ。この質問に対して、「コンピュータ」と答えるということは、それは大問題である。でも、存在するらしい。いや、実際存在する。ジョークではなくて、マジでそう答える種族が、コンピュータヲタクの中には存在するらしいのだ。彼らにしてみれば、コンピュータのほうがよっぽど人間より純粋かつ理路整然としているという主張らしいのだ。そういうことを求めれば、コンピュータと答えてしまうという結論に至るのかねぇ。やはり、謎だ。そうなると、この質問をされるということは、すでに、そういう種族とみなされているということなのか? ほら、大問題であろう。

しかし、この質問そのものも問題ではないのか? 人間とコンピュータ、どっちが好き? 明らかにカテゴリミステイクではないか? 比較できる、好き嫌いの対象ではないだろう? たとえば、トマトとけん玉どっちが好き?と聞くようなものだ。タオルと小説どっちが好き?というようなものだ。フライパンと炊飯器どっちが好き?と聞くのとはまたちがうが。ともかく、比較できる対象なのか?ということは考えなければならない。

人間とコンピュータ、これらは比較できるか? 基本的には比較できないだろう。今のところ(?)、コンピュータに人格はないし、生物でさえない。人間とイヌ、どっちが好き?というのと同じくらい、あるいはそれ以上に失敬な質問である。いや、とはいっても、イヌとネコ、どっちが好き?と聞いている人間を見て、ネコが「イヌと一緒にするなよ」と思っているかもしれないのだが。

ま、この質問に対して、即座に「コンピュータ」と答えるよりも、即座に「人間」と答えたほうが、確実に正解である。問題は、こんな質問に対して、「微妙な問題だ」と答える種族にあるに違いない。

さて、この質問と同時に、男と女、どっちが好き?とも聞かれたのである。やはりこれも由々しき問題である。すでに、そういう人たちだと思われている、もしくは疑わしいということなのか? こういう質問に、マジで「男です」と答えたりすると、きっとそれ以降、警戒されるに違いない。だが、これも微妙な問題である。

はっきり言ってしまえば、ぼくは、女を、女の子を嫌いではない。決して嫌いだとは言っていない。だが、一般的に言って、好きか?と聞かれると、考えざるを得ない。「女は無知でワガママだ」だから好きじゃない、ということかもしれぬ。今回はかなり暴言である。

しかし、これは逆も言えるのである。つまり、女性にしてみれば、「男は無知でワガママだ」ということになる。そうじゃないと思っても、男であるぼくが言っているのだから、そうなのである。

もっと言ってしまうと、破滅的な結果を招く。上のふたつの命題が真だとすると、「人間はみんな無知でワガママだ」という結論に至る。このあとは解説を必要とするまい。ま、だからこそカワいいのさといえば、まるくおさまっちゃうのだが。

さて、今回、ふたつの質問に暴言を吐いてきた。「人間とコンピュータ、どっちが好き?」と「男と女、どっちが好き?」のふたつである。しかし、この質問をぼくに当てはめるのはやはりカテゴリミステイクだといわざるを得ない。なぜならば、ぼくは人間の男に似せられて作られたコンピュータだからである。これでは質問のしようがないし、こっちとしても答えようがない。

ところで、(ア、電池ガ切レタ)

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