女性に好みの男性のタイプを聞くと、「かっこいい人」とか「背の高い人」とか「話の面白い人」とか、いろいろな特徴があげられると思う。これはやはり男性でも同じことで、好きな女性のタイプを聞くと、「かわいい人」とか「胸の大きい人」とか「ものしずかな人」とか、いろんな特徴が出てくるものである。もちろんここにあげた特徴は、たとえばの話として一般的にあげたものであって、別にわたしがこういう好みだというわけではない。むしろ、物静かすぎる女は好きではない、いや、そういうことをいいたいのではない。
こういう場合の好みのタイプというのはやはり外見のことだと思うのである。ここでいう外見というのは広義のものであって、話し方や身のこなしまで含むものである。といっても、実際のところ、「中身よ、中身」といっても、その中身を判断するのは話し方や行動によってしかできないものであるから、どうも本当に中身を見ているのかというと疑わしいものだ。
ところで、医者と患者が恋愛関係になることがときに聞かれるが、なかなかうまく行かないという。これのうちの一部は外科医であることが多いらしい。これはやはり、完全に中身を見てしまうからなのであろうか。実際、本当の中身というのはだれしもどろどろしたものなのである。これは見てはならないものなのかもしれない。
さて、好みのタイプの場合はまだ肯定的であるが、「こういうのはダメ」というのも人によってはあると思う。人によっては、それが話し方であったり、あるいは微妙な体の動きであったり、といろいろあるだろう。しかし多くの場合は「見た目」に関するものではなかろうか。
身体的特徴によって人を判断するのはいけないことだ、とよくいわれる。しかし、それ以外に第一印象を決定づけるものもまた、ないのである。第一印象が悪いならば、その後どんなに面白いことを言ったとしても、つまらない、さむい、と思われることがしばしばである。ときには、意外といい奴、という評価を得ることがあるとしてもそれに賭けていきるのはなかなかにリスキーである。
よく聞かれるNGな身体的特徴としてあげられるのは、いろいろあるが、たとえば多少太りぎみの男性を好む女性は少なくないし、むしろガリガリよりも健康的でさえあるかもしれない。またあるいは、背が低い男性…これはなかなか難しいかもしれないが、絶対的に背の高い女性の場合はむしろその方がバランスが取れるのかもしれないだろう。さらに、ときとして、身体的特徴が頬に傷という場合もあるし、小指が3割減という場合もあるが、こういう男性に惹かれる女性もめずらしくはない。
結局のところ、個人個人の好みの問題なのである。
だが、ハゲ!、これはどうであろうか。老壮の域に達した方ならば、むしろ貫禄ともいえるだろうし、あえてスキンヘッドにしている場合にはその方がかっこいいということが多い。だが、そういう場合を除くとなかなかにハゲ!は好かれる特徴ではない。
そうではないという方のために、典型的な質問をしよう。たとえば木村拓哉(あるいは反町隆史でも竹野内豊でも滝沢秀明でもいいが…)がハゲ!だったらどうであろうか?もちろん剃ったのではない。バーコードだったらどうか? どっちでもかっこいいに違いないというのは無しである。
ここまでボロに言ってきたハゲ!であるが、好むと好まざるとに関わらず、これは人類の進化であるらしい。カイルワ・テクナーケ(インド)を中心とするグループによって、1990年代に入ってからその研究が始まっている。
その提唱する仮説の骨子部分は、次のようなものである。
そもそも人類は哺乳類である。端的に言ってしまえば、下等な哺乳類から猿などの霊長類を経て、人類という進化形へと至ったのである。すなわち、たとえば犬は全身を毛で覆われているが、猿になると顔面および尻の部分には毛が少ない。そしてヒトでは頭部およびその他のごくわずかの部分にしか密集した毛がないのである。これより、ここに仮説ができる。進化とは、毛がなくなる方向に進行する。
以上のような推論過程を経て、ハゲ!は人類がいまだ進化しつづけていくという証だというのである。そして、頭髪がふさふさしているひとよりもハゲ!ている人の方が、より、更なる進化形に近いというのである。
もちろん、進化したものが好まれるという意味ではない。その証拠として、女性のペットはネコやインコやイグアナであって、猿やゴリラやオランウータンではないではないか。