大勢で旅行に行く。大部屋に泊まる。ふとんを敷く。まくらをならべる。さて、寝よう、ではない。なぜか、とりあえず、まくらが宙を舞う。そして合戦の火蓋は切られた。まくらなげである。
しかし、ここまで普及したイベントであるのに、その終わりがはっきりしないのはなぜか。たいてい飽きたとか、顔に当たって泣いちゃったとか、襖に当たってどきっとしたとかで、終結を迎えるのである。これはひとえに、確固たるルールがないという点に問題がある。これほど有名な室内ゲームであるのに、だ。今日は、このゲーム・まくらなげについて、つらつらと考えてみたい。
ゲームであるからには個人戦と団体戦が考えられる。一般には、個人戦のほうが行われているようだが、その実態は、団体戦である。気のあった仲間が、それ以外の輩を攻撃するというスタイルである。しかし、いつでも、裏切りの恐怖を感じながら協力を行っているということは否めない。AとBがCを攻撃していても、ある瞬間、AとCによってBが攻撃を食らうかもしれないからである。
さて、このような駆け引きの面白さから言えば、個人戦のほうに分があるが、ゲーム性の重視という点では、やはり団体戦であろう。明らかに勝負を決定することがゲームの重要な要素であるし、敵・味方の区別のあるほうが、協力関係も強くなる。
まくらなげには現在のところ、公式ルールがない。よって、ここでルールを提案したいと思う。このような新しいゲームのルールを決定するには、類似のゲームのルールを参考にするのがよい。ここであげる類似のゲームは、ドッジボール、雪合戦、格闘技である。まくらなげがこれらのゲームと異なる点は、ドッジボールと比べると、タマの数が複数であること、そして雪合戦と比べると、タマが消滅しないということである。そして、まくらなげは、やはり格闘技なのである。ただし、泣かしちゃいけないし、怪我してもいけないし、モノを壊してもいけない。よくあるのは、白熱しすぎて、痛い目にあったり、障子や襖を壊してしまったりということである。
- 1. 雪合戦式
- 当たってはいけない。落ちたまくらのみを拾って投げ返すことができる。
- 2. ドッジボール式
- 落としてはいけない。取ればセーフ。
- 3. 格闘技式
- 落としてもOK、当たってもOK。ギブアップするかダウンするまで。
しかし、格闘技式でやると、なかなかダウンが取れないので、白熱しやすく、怪我しやすい、という欠点がある。また、雪合戦式では、よけてばかりなので、そのぶん、壁にあたる確率が高くなり、モノを壊しやすくなる。ということで、ここでは、ドッジボール式を提案したいと思う。
また、モノを壊してはいけないということから、少々厳しいルールだが、壁に当ててはいけない、というルールを提案したい。壁に当てたらその本人がアウトである。当然のことながら、球速(まくら速)は遅くなるが、安全のためである。
しかし、ここで問題になるのは、高い位置から投げると速くできる、という点である。速いと痛い、痛いと泣いちゃうので、これを防止するためのルールを提案する。つまり、投げるときには座姿勢で、ということである。この場合、座姿勢を判断する条件としては、おしりが床についていること、とする。
また、まくらを片手でつかんで振りまわすと危険であるから、必ず両手で投げること、というルールも必要かもしれない。
基本的なルールはこうであるが、ゲームの方法も考えなくてはならない。まず、基本的には、チーム全員がアウトになった時点で終わりなのであるが、時間制にして白熱しすぎないようにするというのがあるだろう。その時点での残数で勝負である。
あるいは、将棋のように王将を決めておいて、それがアウトになった時点で勝敗を決するというのもありだ。
さらには、2チームに限らず、3チーム入り乱れての合戦とすると、さらに面白く、そうなると個人戦の面白さもこれまた捨て難いのである。
とまあ、実際のゲーム進行は、オプションとして提案することになるだろう。
ともかく、このようにして、今後ルールを提案することにして、とりあえずここに「まくらなげ協会」を設立したい。英語名は「Pillow Throw Association」である。もちろん、略称は「PTA」。そして「PTA推奨まくらなげルール Ver.1.0」を公開するのが、はじめにやるべき仕事なのだ。