知っているやつは知っているのだが、僕は某団体の某店舗部門のウェブページの制作をしている。「趣味と実益を兼ねた」という言葉がぴったりとくるような、そんな気楽な仕事だ。ポリシーは、simple is smart. 使い勝手のよさは単純さから来る。画像をごてごてと貼りつけるような、そんな「ほーむぺーじ」は嫌いなのである。まあ、単にデザインセンスがないから、と言ってしまえばそれまでなのではあるけれど、いまのところデザインに関するクレームは来ていないらしいので、それはよしとしよう。
さて、店舗のスタッフと僕のあいだの連絡は、基本的にメールで行われる。当然のことながら、なんとかの表を更新してくれ、というリクエストの場合は、Excelのファイルが添付されてやってくる。特価品情報とかいう場合は、DTPのファイルが送られてくる。ちなみに、そのメールのアドレスは、研究室のアドレスであるから、高速回線で数百キロバイトだろうとなんだろうと数秒の仕事だ。うちのダイアルアップ33.6kbpsの環境ではこうはいかない。というわけで、大学で受信し、フロッピーに落として、自宅のPCで編集し、ときには借り物のNotebookに転送して編集し、出来上がったファイルを大学に持ってくるのである。国有財産を使って個人のおシゴトとは如何という声は却下。研究室でDOWNLOADerになるよりはましでしょ?
アップロードは店舗とは別のところから行う。某団体の本部事務所のPCからなので、そこに移動しなくてはならない。Notebookで移動すれば、データの大きさを気にしなくてもいいのだけれど、なにぶん重いので、フロッピーに更新ファイルだけを圧縮して持っていっている。ファイルを向こうにコピーして確認すれば、はい終わり。次回の更新までさようなら、である。
店舗も、本部も、僕の常駐する研究棟からさほど離れてはいない。その位置を適当に書くと、下のようになる。
| 本館 | └――――――┘ ┌―┐ | | ―――┐ | | 食堂棟| | └―――┐ ―――┘ | 研究棟 | └―――――┘
ただし、本部にいく場合は、研究棟の1階から出るのに対して、店舗にいく場合は、3階から出る、という違いがある。なぜなら、キャンパスは丘になっていて、店舗のある建物(本館)の最下階と研究棟の3階が同じ高さにあるという状態だからである。そして、本部のある建物(食堂棟)の最下階と研究棟の1階は同じ高さである。ちなみに、正門の位置する高さは、本館の高さよりもまた少し高い。
さて今日も、フロッピーを持って本部にいこうとしたところ、であった。エレベータを待っていると、うしろから足音が。うちのボスS教授である。これはやばいっす、某団体は前述のとおり学内。やはり研究室バレは痛いので先生は当然知らないままである。…と思いつつも、先生は先に乗り、当然のごとく [3] のボタンを押し、続いて僕は [1] のボタンを押すわけであった。
「おや、1階かね?」
「はあ、ちょっと外へいってすぐ帰って来るんですけれど」
「3階じゃないのかい?」
「いやちょっと」
「1階のほうが近そうなイメージかい?」
と、そこでエレベータは3階に到着。先生は出る。
「1階まで降りると、ポテンシャルエネルギーが減っちゃうじゃない?」
はい、そのとおりですが、問題は行き先なのです。正門の外ではないのです。いろいろ事情がありまして、はい。どうぞ3階で降りていただいて。まあ、1階で降りられましても困りますし…
しかしまあ、やっぱり、そういう表現をなさいますね、情報系(?)の機械系の、つまるところのいわゆる理系の教授殿。