うらうら占い

まことに近頃、占い、姓名判断などの流行る世の中である。この科学万能の現代、それでも、占いという非科学的なものが人の心をつかんで離さないのだ。

占いというのは、物事の吉凶を判断する手法である。自然の事物の中にあらわれた現象を見ることで、将来未来のことを知ろうとすることである。もちろんのことだが、これはなかなかに難しい。よって、占い師は口達者、芸達者でなければ務まらない。はずれてしまうような占い師は当然のことながら信用されないのである。もっともうまい方法はというと、はずれになるようなことを言わない、ということだ。物事を説明するにはいくつかの方法があるのだから、その中から最も解釈の多い、曖昧な説明をすればいいのである。そうすれば、的中率は格段に上がる。そんなのはインチキだ、と言われるやもしれぬが、占いの信用とは所詮、的中率なのである。占いとは「うらない」と読む。裏が無いのである。すべてのことを示すような口上こそが占いの真髄だ。

とは言っても、当たるも八卦当たらぬも八卦、である。まあ、五分五分くらいの的中率があれば、なかなかいい線ではなかろうかと思うのだ。まあ、はずれの五分に掛けて失敗してしまうような不幸者もいるだろうが、それはそれ、占いを信じるからいけないのだ。

ここで、確実に的中率の上がる占いの方法を教えてしんぜよう。心して聞くように。つまり、占いを受験専門で行うのだ。難関であればある程よい。藁をも掴む気持ちで占いを聞きに来るだろうから、儲けは保証付きだ。そして、的中率は五分なんてものではない。受験者の倍率に比例して高くなるという素晴らしさである。そう、全員に「落ちます」「不合格です」と言えば良いのだ。倍率が5倍なら80%の的中率である。そして、たとえはずれても、大学には合格。殴り込みに来られる心配もない。どうであろう。ちなみに、このビジネスモデルは特許申請していないので、自由に使用されても構わんぞ。なんて私は懐が広いのだろう。あーっはっはっは、まあよい、まあよい。ん、そんな目で見るなよ。

古くからは十二支で性格判断をしたり、あるいは星座占いなどがあった。もちろん、より売れやすいのは、星座のほうだ。十二支では、学校では流行らない。当然ながら、クラスの中では、せいぜい2パターンにしか分かれないからである。それから、血液型がある。A型、B型、O型、AB型、この4パターンもあれば、大体の性格を網羅できるということであろうか。Aは几帳面、Bはマイペース、Oはおおらか、ABは変、こんなところか。しかし、AB型はつくづく哀しい型ではないか。変、である。「もしかしてAB型?」と言われたら、「変」と言われているのと同様だ。いや、個性的ってことか。

最近は、WWW の発達によって、占いの種類はそれこそ星の数ほどに増えている。ちょっと調べただけでも、「動物占い」「寿司ネタ占い」「カクテル占い」「家電占い」「チャンネル占い」「山の手線占い」とそれこそ山のように出てくる。結局これも、人間の分類したい分類されたいという欲求の成せる技であろうと思われるのである。結局、自分をあるパターンに落として、それで判断してもらおうというわけであろう。

とにかく分類できれば、占いは成立しそうな勢いである。それでは、と思って、ささっと作ってみるか。


「元素占い」
 あなたは水素です。軽い奴です。しかし、火が点くと恐ろしいことになります。
 あなたはヘリウムです。軽い奴ですが、つきあいが悪く絶対誰ともくっつかないでしょう。
 あなたは炭素です。手が多いです。四又は犯罪的です。
 あなたは酸素です。人をけしかけて怒らせるのはやめましょう。
どうもよくないようだ。この調子でいくと、
 あなたは砒素です。危ないです。
とかなって、
 あなたはウランです。危ないです。
 あなたはプルトニウムです。危ないです。
という具合に終わってしまう。しかも百種類以上というのはわかりにくいようである。


「HTML占い」
これはどうだろう。
 あなたは<P>です。パートナー</P>は省略されがちです。
 あなたは<A>です。どっか行って下さい。
 あなたは<PRE>です。自分の思い通りにしようと思いがちですね。
だめだ。一般向きじゃない。しかも、
 あなたは<B>です。太りすぎに注意。
 あなたは<I>です。真っ直ぐに生きましょう。
 あなたは<S>です。消されました。
まんまではないか。


「文豪占い」
 あなたは太宰治です。入水自殺します。
 あなたは川端康成です。ガス自殺します。
 あなたは三島由紀夫です。割腹自殺します。
やっぱりそうだよなあ。

どうも、私には占いを作る才能が無いようである。それもこれも、既存のパターンに組み込まれたくない、という私の基本的性格に起因するものなのかもしれない。

と、そんなことを言っていると、こんなところにボタンが。

そ、そういうことでございましたか。

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