広告 (Document Analysis - 3)

最近、この「ドキュメント解析」シリーズしか書いていない気がする。…ん、誰だ、「ネタ人間、ネタに追っかけられるの巻」などと囁いているのは。まあ、ネタ人間なのは否定しないし、ネタに追っかけられているのも否定はしないが。しかし、微文積文のオリジナル雑文が書けないほどに、「ドキュメント解析」シリーズに追っかけられているのは確かであろう。とは言いつつも、これを書いていることで、週1回の更新が確実に行われているのも確かである。なにしろ、嬉しいことにお題は向こうから降ってくる。それに対して書けばいいのであるから、少なくとも、もとのネタを探す必要はないのだ。ただ、微文積文のほうにかまけるあまり、講義のためのコラムを書いていないのも事実である。これでは、本末転倒だ。初心に戻り、まず、コラムを送り出してから、微文積文のネタに取りかかるとしよう。

といったわけで、大学院講義「ドキュメント解析」4回目である。今回のテーマは、「広告」である。なにやら、“実際に存在する商品でも想像上の産物でも、親友でも恋人でも、どんどん売り込んで下さいませ”なるご案内であった。また、“レイアウトに凝るのは多少はアリですが、画像添付は反則ですのでご用心。いろんなアイデアお待ちしております”だそうである。

とは言っても、あくまでも「コラム」である。文章で勝負するのが、我が美学である。虚飾を廃することこそ、雑文系コラムニストの勝負のしどころである。といったわけで、一切のレイアウトは悪と決めつけ、いつものとおりの色気のないスタイルで、真っ向勝負に出ることとしよう。

いきなり強気に出てしまったが、暫し考えると、これはなかなかに困難である。そもそも、広告というのは、人に見られてナンボのもんである。目をひくものの勝ちである。どんなによい商品であっても、宣伝が上手くなければ、宣伝の上手い二番手に食われてしまうであろう。広告とは、そういうシビアな世界なのだ。そういったわけで、レイアウトというのは、広告においては非常に重要な位置を占めるものであろうと思うのである。大きな字とセンセーショナルな言葉、これによって、読者すなわち消費者の目を向けさせ、その商品を印象づけるのである。

コピーライターという仕事がある。これは凄い。キャッチコピーをひとことふたこと提案すると、莫大なギャラが発生する。場合によっては、キャッチコピーは駄洒落なこともある。おそろしいことだ、駄洒落で食ってる、しかも芸人ではないなんて。もちろん、それによって、商品が売れるのであるから、妥当なものなのであるが。私は、その才能が、欲しい。いや、駄洒落の才能ではなくて。

話をもとに戻そう。あくまでも「コラム」というくくりで考えると、レイアウトはしないのが、やはり真っ向勝負であろう。美学を押し通して、内容のみで勝負したいものだ。

遂に登場。人間の友達として居住環境を豊かにするアンドロイドの誕生です。

いまやテクノロジの進歩は一切の家事を機械にさせることが可能なところまでやってまいりました。人間型ロボットが、あなたの身の回りのお世話をする時代の到来です。これであなたの家族も、家庭での団欒をもっと満喫できることとなるでしょう。

弊社では、過去数十年、人間型ロボット・アンドロイドの開発に携わってまいりました。そして本日、その完成形をみなさんに発表することとなりました。汎用アンドロイド・製品番号AD-2001M・アンドーくんです。

アンドーくんは、最新の陽電子頭脳を搭載し、人間の感情をエミュレートすることが可能となっております。これによって、これまでのロボットでは実現できなかった細やかな気配りが可能になりました。また、合成生体組織を用いることで、しなやかな動きと質感を実現し、さらに、軽量化にも成功しました。全長150センチメートル、重量65キログラム(オプション未装着時)と、きわめてコンパクトになっています。

電源は、充電式バッテリを使用しており、連続稼動20時間と、日常生活には十分な長さを実現しました。充電には家庭用100ボルト電源を使用可能です。なお、オプションの小型核融合炉ユニット(別売)を搭載することで、半永久的動作も可能となっています。ただし、核融合ユニットを搭載した場合、戦略物資と見なされ、国外への持ち出しはできなくなりますので、ご注意ください。

ちなみに、姉妹商品として、女性型アンドロイド(製品番号AD-2001F・アンドーさん)もご用意させていただきました。男性型のアンドーくんに比べて小型となっており、陽電子頭脳を感傷的に設計してあります。このため、安全のために核融合ユニットは取りつけられなくなっております。ご了承ください。

さて、アンドーくんはオプション(別売)を搭載することによって、様々な才能を発揮することができます。とくに、人間の生活を豊かにするための芸術的才能シリーズを充実させていただきました。

まず、家庭で気軽に生演奏を鑑賞できる音楽オプションです。クラシック演奏者からクラブDJまで、古今東西のありとあらゆるジャンルの中からお選びいただくことができます。

また、文学オプションも用意しました。古今東西のありとあらゆる文豪シリーズが揃っております。ただし、種類によっては、自堕落になる、頽廃的になる、自殺願望を持つなどの副作用のあるものもあります。お客様の趣味と安全をよくご検討の上でお選びください。

なお、本文章は、文学オプション・コラムニストシリーズ、ほらふきモジュール搭載のアンドーくんによって生成されているものです。この点もご留意の上、ご検討いただきたいと存じます。

なんということか。またも、メタな文章にしてしまった。しかも、「アンドロイドのアンドーくん」って、そんな駄洒落で、コピーライターになる気か…ではなくて、講義に真っ向から挑んでいるつもりなのか、単なるウケねらいではないのか、しかもハズしちゃってるのではないのか、アンドーくんよりもアンドレのほうがよかったのではないのか…と、拙い点が噴出である。ついでに、コラムは600字が目安となっているのだが、2,000バイトを超えている。これは多い。なんとか再編集はするが…。

といって、削り倒したところ、意味不明というか設定の甘いところというか、叩けば埃の出る文章になってしまった。えぇい、知ったことか、送ってしまえぃ。といったわけで、こんなので勝負を仕掛けてしまったのだが、果たして結果はどうなるのであろうか。これからの講義が、今度こそは、恐い。

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