ミルクとたまごと砂糖と…

もちろん、プリンの話である。プリンと言えばやっぱり、「おじゃる丸」である。「プリン賛歌」である。

おお ソナタを知って マロはクラクラ
やんごとなき あまさ マロをとろかせる
スプーンでつつけばふるえる きいろいソナタ
マロとソナタの ひみつの会話
ママどの わすれないでたも
デザートに プリン(ぷるん) プリン(つるん)
すばらしき この時代 まだまだマロは かえらない

そういうわけだからかなんだかは知らないのだけれども、プリン調査隊なるものが結成され、その第一回会議が開催されたのであった。今回は首謀者でも幹部でも黒幕でもなく、純粋に参加者、しかも突如引っ張りこまれたかたちでの参加である。

先発の購入隊には参加していないので詳細は不明なのだが、デパ地下でプリンを買いあさってきたということである。そして、後発隊の4人によりさらに追加されるプリンなのであった。さて、後発隊が調査本部(個人宅・部屋)に乗りこんだとき、すでに数時間かけて9種のプリンの試食が終了しており、そこの冷蔵庫には、それでもまだプリンの壁が残っていた。そして、各々の手もとには、スコアシートまで用意されているのだった。もちろん、スコアシートといっても、店名・(購入場所・)プリン名・(単価・)評価点数・コメントぐらいが書かれているにすぎないのではあるけれども。…っておい、それぐらい、というレベルではない。それはそれはおそろしい、もとい、素晴らしいことになっていたのである。

早速、後発隊によって、前半(?)の9種の試食が開始された。9種といっても、1個を4〜5人で食べるのでそれほどの量ではないはずである。…ってよく考えると、この時点でひとりあたり既に2個のプリン(しかも、それなりに高級といえるレベル)を食しているではないか…やはり多い。兎も角、一口食べて味を確認し、もう一口食べて点数をつけ、さらにもう一口を慎重に食べてコメントを書き、これが9回ほど続く。食べながら、互いに味を表現し、批評する。

後発隊が9種を平らげ、先発隊に追いついたので、改めて再スタートである。全員でプリンの銘柄を確認し、食し、点数をつけ、コメントし…が続く。コメントはときに厳しく、そしてときとしてプリンよりも甘く、これが普通の人々のやることなのか、という疑問はさておき、やはり味を言葉で表現するというのは、なかなかに困難なことである。しかも、徐々に味に対して鈍くなる舌・味覚。甘さにやられていた気がする。

はたして、購入したすべてのプリンを試食しおわり、なんとも言えぬ満足感と満腹感と、しかし、なんだかなあ…な気分で終了をむかえた。終了がおよそ23:30で、後発隊の到着はおよそ20:30だったから、3時間かけてプリンばかり食っていたことになる。後日の公式発表によると、食したプリンは、23種43個、総額12,760円、参加者は全9名であった。

帰ったあと、とりあえず、しばらくは甘いものはいいです、という気分であった。いや、遠慮しますというよりも、二日酔いのひどいときの「もう一生アルコールは口にしませんのでお願いだから許してください」に近いものがあったと言えるかもしれない。やはり、「美味しいものはちょっとだけ食べるくらいが美味しい」というのは真実であろうと思われる。

ついでだから述べておくと、こういうときに飲む味噌汁は格別に美味いものがあった。

さて、思い出してみると、寒いこの時期にもかかわらず、帰途、体がホットなのであった。おそらく、血糖値がとんでもないことになっていたと思われる。それだけではなく、まったく飲んでいないのに酔っている感じがあり、糖分が分解されてアルコールになっているのでは疑惑である。

そもそも、この「アルコール体内製造説」は、次の事実によって一度は確認されている。友人の某S氏の某Y嬢に対しての一言 「飲んでるしょ?」 実際には、Y嬢は一滴も飲んでなかったそうである。しかし、Y嬢の日常の言動を観察してみると、やはりその一言も納得してしかるべきものではある。もちろん、飲むとさらに飛んでいくのは言うまでもないことなのだが。この例以外にも、一滴もアルコールを摂取していないにもかかわらず、みょうちきりんな言動をする人々がまわりには結構いて、やはり体内でアルコールを醸造しているに違いないと思うのである。

さらに今回、大量の糖分を一度に取ったときの、あの奇妙なハイテンションと、あのホットさを考えると、やはり、体内で糖分がアルコールに分解されているのではなかろうかと疑ってしまうのである。今回のメンバー数人において、この症状は確認されている。しかし、困ったことに、サンプルがすべてネタ人間であるとも疑われるのだ。前述のY嬢はもちろんネタ人間であろうし、この事実について共に考察をした某K氏もそうであろうし、かくいう私もそうである。となると、やはり、人間の体内でアルコールが製造されているというよりも、ネタ人間の体内でアルコールが常に製造されていると考えるほうが妥当ではなかろうかと思うのである。

というわけで、ネタ人間というのは、わざわざアルコールを摂取せずとも酔っていられるという、実に安上りな人々だ、という新事実が判明したのである。

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